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社長メッセージ

 

社長メッセージ

上期の業績
 自動車産業を取り巻く環境は地域毎に大きく異なる様相を呈してきました。日本国内は、主要な自動車メーカーのトラブルによる生産見合わせや東南アジア向け輸出の不振が影響し、2024年度上期の国内自動車生産台数は前年同期比10%ほど減少しています。アジア地域は、中国における日系自動車メーカーの販売不振が続く一方で、インドでは自動車市場の成長とともに当社の主要顧客との取引も増加しており、この傾向はしばらく続くものと捉えています。北米地域は、BEV(電気自動車)からICE(内燃機関)やHEV・PHEV(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車)への揺り戻しがありつつも主要顧客の販売は堅調に推移しています。
 収益面においては、引き続き損益分岐点を意識したコスト構造改革を進めています。日本では自動車市場の将来見通しを見据えた人員の適正化を実施し、今後その効果が表れてきます。中国では昨年の減損会計処理による減価償却費負担の軽減に加え、さらなる人員の適正化を進めて収益の黒字を回復しております。取引が増加している地域では、同一製品をグローバルで生産しているビジネスモデルの強みを生かし、各拠点生産能力を有効活用する最適なグローバル生産体制構築を推進しています。米国工場では、取引が増加する一方で、人件費などの製造コストの上昇に加え、人材の流動性が高いことによって生産性が悪化し、収益に大きく影を落としています。このような状況を是正すべく全社を挙げて現場管理を強化し、早期に生産性が改善するよう尽力しています。これらに加えて、エネルギー費や賃金の上昇などを適正に価格に反映すべくお客様との交渉も引き続き推進してまいります。

経営計画の取り組み
 2224中期経営計画の柱の一つとして、「製品開発リードタイムの短縮」に取り組んでおり、受注から量産までの個々のプロセスのDX化と業務効率化を進め、リードタイム半減を目指しています。自動車メーカー各社で加速する新車開発のスピードへの対応だけでなく、既存製品においてもお客様の困りごとへの迅速な対応が可能となり事業機会の拡大につながっています。また、開発に関わるコスト削減や資産の休眠期間の最小化にもつながっています。
 コスト構造改革におけるものづくりの取り組みにおいては、「時間当たり付加価値」に着目し、ロボットやからくりを活用した生産性向上、改善を進めています。


電動化の動向と当社の対応
 当社は各市場の電動化シェアに即した受注戦略を展開しています。今後の自動車市場は、BEV販売はアーリーアダプターの需要が一巡し踊り場を迎え、足元はHEV・PHEVの台数が増えていくと予想しています。内燃機関と電動部品の両方が搭載されているHEV・PHEVは、一台当たりのアルミダイカスト使用量が多いため需要は増加、中期的な事業の成長が見込まれます。日本国内は引き続きHEV・PHEVが中心の市場であり、市場規模は横ばいの中で当社の魅力アップと収益基盤の強化を進めています。一方、世界第三位の自動車市場に成長したインドは、他地域と比べ電動車の比率は低い状況ですが、今後も電動車を中心に市場が成長するものと予想しています。2024年度下期より、国内工場にてHEVに搭載される複数の新規製品の量産を開始。12月末には電動車向け部品生産体制強化のためにインド第二工場が竣工、2025年より製造ラインも稼働し新規製品の量産を開始するなどそれぞれ収益に貢献する予定です。また、米国自動車市場のニアショアリング先として注目度が高まるメキシコにおいては、成長ドライバー地域として売上・収益の拡大が見込める一方で米国の新政権による保護貿易への影響を注視しつつ、経営資源の投入を判断してまいります。

 ステークホルダーの皆様におかれましては、ご心配とご迷惑をおかけしておりますが、今後も企業価値の向上に努めてまいりますので引き続きご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役社長 最高経営責任者 高橋 新一