Ahresty

TCFDに基づく情報開示

 

アーレスティグループは、TCFD(※)提言に賛同し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の観点から、情報開示の充実に向けて取り組んでいきます。
※TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)

ガバナンス

a)気候関連のリスク及び機会についての、取締役会による監視体制を説明する。
b)気候関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割を説明する。

アーレスティグループでは、サステナビリティ会議にて気候関連リスクや機会の把握、影響分析、対応策を取りまとめを行っています。サステナビリティ会議で議論された重要事項については、業務執行に関する重要事項の審議・報告を行う機関である経営会議で提案・報告を行っています。
代表取締役会長を議長とする取締役会では、定期的に経営会議内容の報告を受け、TCFD提言への対応状況を含むサステナビリティへの取り組みの監督を行っています。

サスティナビリティ会議
 

※所管部:所管する業務(機能)につきグループ全体を統括する(株)アーレスティの部・室

 

取締役会

・中期経営計画、3カ年経営方針を承認する
・TCFD提言への対応状況を含むサステナビリティへの取り組み等について定期的に経営から報告を受け、監督を行う
・気候変動リスクを含む経営に重大な影響を与えるリスクへの経営の対応状況を監督する
 

経営会議

・中期経営計画、3カ年経営方針(管理指標・目標値設定を含む)、リスクマネジメント計画の審議を行う
・サステナビリティに関するリスクと機会、活動指針及び計画、TCFD等の対外開示や発信等、グループのサステナビリティに関する重要事項につき、審議、決定を行うまたは報告を受ける
 

サステナビリティ会議

・サステナビリティに関する社会情勢、法規制や他社動向等に関する情報収集を行う
・サステナビリティに関するリスクや機会の把握、影響分析、対応策を取りまとめ、経営会議に提案、報告する
・決定事項を事業計画等に反映するため、所管・関係部門・部会へ伝達、周知する
 

リスクマネジメント事務局

・サステナビリティ会議事務局にて分析・特定したサステナビリティに関するリスクをリスクマネジメント計画に反映し、リスク所管部門とも連携してリスク回避・低減のための活動計画を策定する
・リスクマネジメント計画を策定、その実施状況を管理し、経営会議、取締役会へ報告する

戦略

a)組織が識別した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会を説明する。

アーレスティグループでは、環境課題に係るリスクは長期間にわたり、自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、環境ロードマップ、サステナビリティロードマップを作成し、改善に取り組んでいます。中期経営計画の実行フェーズである2022~2024年度、10年ビジネスプランのターゲット年度である2030年度を見据え、気候変動がもたらす異常気象等の物理的リスク、政府による政策規制の導入、および市場ニーズの変化等の移行リスクの検討を行い、特定したリスク・機会はグループの戦略に反映して対応しています。

b) 気候関連のリスクと機会が組織のビジネス、戦略及び財務計画(ファイナンシャルプランニング)に及ぼす影響を説明する。
c) 2℃或いはそれを下回る将来の異なる気候シナリオを考慮し、組織の戦略のレジリエンス(強靭性)を説明する。

アーレスティグループは、気候変動によるリスクと機会の特定及び、財務計画への影響度と対応策に関する開示を行うにあたり、IEAやIPCCが公表する1.5~2℃シナリオと4℃シナリオを用いて、2030年度断面でのリスクと機会を抽出を行っています。

IPCC…​RCP 2.6、RCP8.5
IEA…Net Zero Emissions by 2050 Scenario、Sustainable Development Scenarioなど


内容 事業及び財務への影響 当社の対応方針
シナリオ
2℃
未満
4℃
リスク 移行リスク 政策/規制 炭素税導入などによる調達コスト増 ・2050年のカーボンニュートラルへの挑戦に向け、CO2排出量削減施策推進(太陽光発電導入、エネルギー転換、省エネ活動、再エネ購入)
・カーボンニュートラルダイカスト(CNDC*)の開発研究
・環境規制、CO2排出量削減政策の動向に関する情報収集、影響分析を踏まえた事業戦略への迅速な反映
技術開発 カーボンオフセット(CCUS、カーボンクレジット)(CO2回収・転換・貯留技術)にかかるコストの増加
市場動向 鉄からの材料置換がアルミ以外になることによる市場規模減少 ・アルミダイカストのLCA優位性(少CO2排出、リサイクル性)および製品特性(軽量、形状自由度、剛性)に着目した需要創出技術の開発・提案によるアルミダイカスト製品の競争力の確保
市場動向 アルミ価格高騰による調達コスト増 ・調達の工夫、顧客との売価反映タイムラグの短縮交渉による影響の緩和 
市場動向 EV化による既存製品の売上高減少 ・電動車向け部品の受注拡大(電動化で先行するOEM・Tier1・外資系企業への営業強化、環境規制動向・電動化シフトを睨んだ地域毎の受注戦略の立案、推進)
・車体系部品の受注拡大(異種材との接合技術の開発推進、車体系部品に強い会社との協働模索)
・非自動車分野の収益力強化(モバフロア)
市場評価 気候変動・環境対応不足、活動内容開示不足等による新規顧客獲得減・取引停止等(受注減)  ・10年ビジネスプラン、中期3カ年方針における全社重点戦略項目としての多面的な取組(CO2削減、車両軽量化、CNDC*開発)
・CO2排出量削減の取り組み、事業戦略上の重要度の高さ、目標や実績等についての積極的な開示、対外発信の実施
・ステークホルダーとのエンゲージメント強化による信頼・評価の醸成
・環境規制、CO2排出量削減政策の動向に関する情報収集、影響分析を踏まえた各地域事業戦略への迅速な反映
市場評価 環境配慮対応の遅れにより、ステークホルダーからの評判を毀損し、顧客の購買活動や投資家からの資金調達が困難になる、投資家によるESG投資判断への影響
物理的
リスク
急性 自然災害による生産拠点の損害・操業停止、物流麻痺による調達遅延 ・BCPの強化
・緊急時電源の確保(非常用電源確保と自家発電設備の活用)
慢性 感染症増加による予防のための労働時間減少、稼働率の低下 ・緊急対策本部の機動的設置
・COVID19対応時の経験を踏まえた感染症対応マニュアル等の整備、感染予防策の実施、操業影響の軽減
機会 資源効率性 CO2排出量低減ニーズに伴う再生塊のニーズ拡大
(新塊使用量を削減しリサイクル材の拡大。熊谷工場の配合技術の進化によるニーズ捕捉の可能性)
リサイクル資源に対する需要の増加
・配合技術、溶解技術の探求
・リサイクル材活用のアルミ地金の提案
エネルギー源 再エネに係る新たな政策・制度の進展による再エネ調達コストの減少 ・2050年のカーボンニュートラルへの挑戦に向け、CO2排出量削減施策推進(太陽光発電導入、エネルギー転換、省エネ活動、再エネ購入)、再生エネルギー活用の知見の蓄積
・再エネ調達ルート、政策制度導入に関する情報収集
製品/サービス 気候変動緩和・適応製品の販売拡大⇒CNDC* ・アルミダイカストのLCA優位性(少CO2排出、リサイクル性)および製品特性(軽量、形状自由度、剛性)に着目した需要創出技術の開発・提案によるアルミダイカスト製品の競争力の確保
・CNDC*の開発、研究
製品/サービス ZEVであるEV、FCVの製品受注が進み売上が増加
(例:モーターケース、E-Axleハウジング)
・電動車向け部品の受注実績作りと中長期的競争力確保(顧客基盤の拡大、営業マンの力量向上、価格(工場原価)競争力強化)
・製造工場と営業双方の戦略共有によるターゲット製品の着実な受注
市場 軽量化ニーズに伴う自動車部品に占めるアルミダイカストの割合増加(鉄からアルミへの置換) ・車体系部品の受注拡大(もう一段の軽量化が求められるBEV搭載部品の受注にランクアップするためのターゲティング、ギガプレス等大型ダイカストの動向やサプライチェーンの変化に関する情報収集)

*CNDC=カーボンニュートラルダイカスト

リスク管理

a)組織が気候関連リスクを識別及び評価するプロセスを説明する。
b)組織が気候関連リスクを管理するプロセスを説明する。
c)当該組織が気候関連リスクを識別・評価及び管理のプロセスが、組織の総合的リスクにどのように統合されているかについて説明する。

当社では、サステナビリティ会議で気候関連リスクの抽出・影響度の分析を行っています。
影響度が大きいと分析されたリスクは、リスクマネジメント事務局で全社リスクと統合し評価・管理を行っています。

リスクマネジメント会議
リスク管理プロセス 実施事項 担当
①リスクの特定・分析 当社経営に影響すると想定されるリスクを抽出し、特定したリスクが顕在化する確度及び顕在化した場合の影響度の大きさを分析する サステナビリティ会議
②リスク評価 リスク分析の結果に基づき、リスク評価を行う
(リスクマネジメント計画対象リスクの判定)
リスクマネジメント事務局
③リスクマネジメント計画の策定 リスクマネジメント計画の対象と判定されたリスクに関して対応目標及び活動計画を立案し、経営会議の承認をうける リスクマネジメント事務局
④リスク回避・低減活動の推進 リスクマネジメント計画に基づき、対象リスクを回避・低減する活動を推進する リスク所管部署各事業所
⑤リスクマネジメント活動のモニタリング・管理・報告 リスクマネジメント計画の進捗状況についてモニタリングを実施する
活動結果は年1回経営会議、取締役会に報告する
リスクマネジメント事務局

指標と目標

a)組織が自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスクと機会を評価するために用いる指標を開示する。
b) Scope1・Scope2及び当てはまる場合はScope3の温室効果ガス(GHG)排出量と関連リスクについて説明する。 
c)組織が気候関連リスクと機会を管理するために用いる目標、及び目標に対する実績を開示する。

アーレスティグループでは、日本における温室効果ガス総排出量の約9割を占めるCO2に対し削減目標を定めています。
Scope1・2CO2排出量を指標とし、CO2排出量削減に取り組んでいます。
Scope3のCO2排出量算出については23年度上期を目途に完了し、追加開示をする予定です。


CO2排出量(Scope1,2)

CO2排出量

集計範囲:国内全製造拠点 8カ所+本社・テクニカルセンター、東京本社 海外全製造拠点 7カ所
参照元:Scope1:環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」における各エネルギー形態に応じた係数を使用
Scope2:IEA「IEA Emission Factors」における各国及び各年度実績に応じた係数を使用