自動車産業を支えてきた、アルミダイカスト技術
戦後日本の高度経済成長を支え、今では日本の主要産業として知られる自動車産業。
その長きにわたる自動車産業の歴史を支えてきたものの一つにダイカスト技術があります。
ダイカストとは溶融金属を精密な金型に高圧で圧入する鋳造方式であり、
これにより製造したアルミニウム部品は「寸法精度の高さ」「高い強度」「アルミニウムならではの軽さ」「高いリサイクル性」といったさまざまな強みを備えています。
こうした強みを持つダイカストは、エンジンをはじめ自動車の主要箇所に使われており、その技術は今なお自動車業界と共に進化中。
とりわけ近年は世界的に環境意識が高まる中、アルミダイカストが可能にする「軽量化」が注目を集めています。
ダイカスト技術の革新を、世界の自動車業界が待ち望んでいる
地球温暖化が叫ばれる今、世界の自動車業界が最も注力しているのが「環境に配慮した自動車」の製造。
そこで大きな課題となっているのが「ボディの軽量化」です。
従来、自動車のボディは強度を担保するため鉄が使用されていましたが、
近年、ヨーロッパを中心にアルミニウム素材をボディの一部に使用する試みが本格化してきました。
アーレスティもこうしたニーズにいち早く応え、アルミダイカストによる自動車ボディの製造に取り組んでいます。
しかし、アルミ化されていないパーツがまだまだ多いのも事実。
世界の自動車業界を驚かせる新たな鋳造技術を編み出すために、私たちは研究開発に打ち込んでいます。
企画、設計から製造まで、自社内で完結できる強み
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- 設計
- 原料生産
- 金型製作
- 鋳造
- 機械加工
- 出荷
1938年の創業以来、日本の主要な自動車メーカーと共に歩んできたアーレスティ。
我々は「クライアントの発注通りに製造する」だけでなく、
「長年の知見を活かした設計の提案」や「クライアントと共同による新商品の企画開発」、そして製造まで自社内で完結できる強みがあります。
また、当社のようにグローバルで大型工場を持ち、世界各国の顧客にダイカスト製品を納めている企業は国内に数社。
営業がヒアリングしたクライアントの課題に対して設計者がベストな提案を行い、それを自社工場の製造技術者が速やかに具現化する。
――そんなシームレスな連携が、世界水準のアーレスティ品質を実現しているのです。
生産技術部
設計課
山田 芳幸
工学部機械工学科卒
2006年入社
部署を超えたスピーディな連携から、
高品質な新製品が生まれる
アルミダイカストの金型設計とはどのような仕事ですか。
私は入社してから10年にわたり、自動車部品の金型設計に従事しています。アルミダイカストの強みは、鉄と比べて軽量で複雑な形状のものを高精度で作れること。それだけに金型設計へのオーダーも年々複雑化しています。アーレスティの金型は標準化が進んでおり、誰でもある程度の金型は作れる環境が整っているものの、お客様の期待を超える「一歩先の設計」ができるかは設計者のスキル次第。しかも金型は製品の生産性を左右する重要なアイテムだけに、自分の仕事がアーレスティの製造事業に直接影響するという責任もあります。プレッシャーはありますが、そのぶん自分のアイデアが成功し、無事お客様の要求に応えることができたときの達成感もひとしおです。
どのようなときに仕事のやりがいを感じますか。
金型設計の仕事は一人でするものではありません。営業や鋳造工場の関係者、さらには金型製作メーカーの方々など、社内外の経験豊かなプロフェッショナルたちと議論を重ねながら、生産性の高い金型を創り上げていきます。新規製品が重なる時期は忙しく仕事一色の生活になることもありますが、部署の垣根を超えたチームが一体となって結果を出すやりがいは他に代えがたいもの。特に、私のいるテクニカルセンターは東海工場や東海営業所と近接地にあるので、こうした連携は非常にスムーズだと感じます。
今後の目標を教えてください。
今アーレスティでは、新しい鋳造技術に挑戦しており、私も技術開発者と協力して金型試作に携わっています。自分の培った設計知識を活かしてこの技術を実用化し、アーレスティのグローバル化、品質やコスト競争力に貢献すること。それが、現在の私の目標です。
ある一日の仕事の流れ
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8:30
始業開始
朝礼
メールチェック -
9:00
新規製品の金型構想検討
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13:00
新規製品の金型設計検討会(DR)を工場とTV会議実施
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16:00
DRの内容を整理、構想図にフィードバック
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17:15
退社
技術部
技術開発2課
阿部 慎太朗
工学部工学研究科修了
2011年入社
ダイカストの未来を塗り替える、
未知の新技術に挑戦しています
技術開発者として、どのような仕事をしているのか教えてください。
私が所属しているのは、ダイカストにおける鋳造工法やダイカスト用材料の開発を行うグループです。現在は「高真空鋳造法」と呼ばれる新手法の生産技術・管理技術の開発を工場と連携して行っています。理論構築や基礎実験をテクニカルセンターで行い、実機での運用試験を工場で行うというのが普段の仕事の流れ。仮説を実験で検証するわけですが、必ずしも仮説通りの結果が出るとは限りません。しかし、想定外の結果から思わぬ発見につながったときや、原因が不明だった事象を理論的に解明できたときに達成感を味わえます。
「高真空鋳造法」の開発にはどのような意義があるのですか。
高真空鋳造法の最大のメリットは、材料自体の性能を高く引き出すことで靭性(破壊に対する抵抗)を向上させられると共に、溶接や熱処理が可能になること。これにより自動車ボディの多くを鉄より軽いアルミニウムに代替することができ、環境性能を求める自動車メーカーにとってもアーレスティにとっても、大きな革命となるでしょう。この技術はすでにヨーロッパで用いられていますが、国内での普及は遅れている状況。実用化に成功すれば、日本のダイカスト市場を変える画期的な技術となります。
今後の目標を教えてください。
今手掛けている研究開発から、「10年、20年先にアーレスティの強みとなる技術」を生み出すことが目標です。技術開発は一朝一夕で完成できるものではなく、何年も試行錯誤を繰り返し熟成させる気の長い仕事。しかし、それがいつか会社の新たなコア技術として結実すると思うと身が引き締まります。しかも、技術開発課は若手とベテランが分け隔てなく議論でき、若手のアイデアも採用される環境です。開発者として充実した日々を送れていると感じます。
ある一日の仕事の流れ
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8:30
出社
メールチェック
予定確認 -
10:00
実験準備
実験開始 -
12:00
昼休憩
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15:00
実験終了
実験データ解析 -
17:15
退社
ダイカスト営業部
グローバル営業3課
高柳 圭佑
経済学部経済学科卒
2011年入社
世界を走るあの人気車種にも、
私たちの提案力が活かされている
現在の仕事内容を教えてください。
私は現在、国内大手自動車メーカーの四輪製品の担当営業をしています。お客様から引き合いをいただいた製品の見積もり検討や、既存製品の設計変更依頼への対応が主な業務。営業の仕事が「受注した商品を売るだけ」という会社もありますが、アーレスティの営業はお客様から預かった図面を社内の設計者と共に検討し、より安く、より高品質なものにするための提案まで行います。おかげで「ものづくり」に参加しているという面白さを実感できています。
営業として感じる、アーレスティの強みはどこですか。
競合のダイカストメーカーもある中で、お客様にアーレスティを選んでいただけている最大の要因は、長年かけて磨き抜かれた独自の技術・ノウハウだと思います。大型のダイカスト製品を製造できる大規模設備を備えている企業は国内に数えるほどしかありませんし、優秀な技術者が多い当社なら、お客様が求める「複雑な形状」や「燃費を押さえるための軽量化」といったニーズにも応えられます。おかげで我々営業も、自信と誇りを持って提案ができていると感じます。
営業の仕事をする中で、どんなときにやりがいを感じますか。
アーレスティでは設計から製造まで社内で一貫して行える体制を持っており、我々営業も工場の製造技術者とのコミュニケーションは密にとっています。また、時にはお客様からのニーズに応えるため、技術開発者と共に「今まで世の中になかった技術」の開発に取り組むこともあります。そのように社内の技術者たちとチームを組んで開発プロジェクトを推進し、その結果お客様からお礼の言葉をいただけたときには大きな達成感があります。さらに自分の携わった新車がヒットしたときにも誇らしい気持ちになるもの。つい、知人にも自慢したくなります。
ある一日の仕事の流れ
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8:30
出社
メールチェック
予定確認 -
10:00
社内ミーティング
新規引合部品の検討会 -
12:00
昼休憩
食堂で昼食をとる -
14:00
お客様と打ち合わせ
新規部品の形状提案と日程確認 -
17:15
退社
ダイカスト営業部
栃木営業所
喜多村まどか
工学部
環境エネルギー工学科卒
2011年入社
お客様からの信頼に応え、
新製品をプロデュースしていく楽しさ
現在の仕事内容を教えてください。
自動車部品メーカーや汎用部品メーカーといったお客様に対する、ダイカスト製品の提案営業が私の主な仕事です。そのほか、売上高目標に対する市場調査や、受注した部品の開発、試作、量産に至る社内外での調整業務や、量産開始後のQCD(品質・価格・納期)に関する対応まで、一貫して担当しています。
営業の仕事に慣れるまで、どのようなことに苦労しましたか。
昔ほどではありませんが、自動車業界は男性が多い世界です。そのため、客先に行っても社内で打合せしても「紅一点」になることがほとんど。最初はお客様から珍しがられることもありました。でも、性別に関係なく社内外で信頼関係を築く上で大切なのはやっぱり地道なコミュニケーション。最近はお客様に提案をしたときにも「喜多村さんが言うなら、大丈夫だね。お任せするよ」と信頼いただけるようになりました。また、栃木営業所に配属された当初はペーパードライバーだったので運転にちょっと不安があったのですが、すぐに慣れ、今では通勤や客先への訪問で毎日車に乗っています。
仕事をしている中でどのようなときにやりがいを感じますか。
部品の提案・受注、部品の開発、量産化に至るまでには4、5年という長い年月がかかるため、私はまだ量産化までたどりついた経験がありません。しかし、現在携わっている長期の新商品開発プロジェクトではついに試作品が出来上がり、量産化に向けて佳境を迎えました。自分が受注した新商品が世に出るのは初めてなので、とてもワクワクしています。今後の目標は営業経験を活かして業務改善にも貢献すること。帳票類の発行・申請の電子化、システムの刷新化など、働く環境も変化し続けているので、営業部全体の業務効率の向上につながればと思っています。
ある一日の仕事の流れ
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8:30
出社
メールチェック
試作手配 -
9:30
課内ミーティング
課員の予定と業務進捗状況の確認・フォロー -
13:00
顧客打合せ
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15:00
事務処理
見積書、資料作成 -
17:15
退社